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洪水で揺れる豪ドル、日本のFX投資家が下支え

外国為替市場でオーストラリア(豪)ドルが下落基調を強めている。豪北東部で起きた洪水の影響で、対米ドルでは年初の1豪ドル=1.02米ドル台半ばから0.98米ドル台前半まで下落した。対米ドルでは4%以上下落したが、対円では1豪ドル=81円後半と年初から1.5%程度の下落にとどまった。対円での下落幅が小さい背景には、外国為替証拠金(FX)取引を手掛ける個人投資家による「救済」がある。

12日付の豪紙報道によると、昨年末に発生した豪北東部クイーンズランド州での洪水の影響について、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のマッキビン理事は国内総生産(GDP)を1%程度押し下げる可能性を指摘した。12日の外国為替市場では、豪景気の減速懸念が強まり、豪ドルは対米ドルで一時0.9810米ドル前後とおよそ1カ月ぶりの安値圏まで売られた。

ただ、個人投資家はここにきて対円取引での豪ドル相場について「強気のスタンスを鮮明にしている」(岡三オンライン証券の武部力也投資戦略部長)という。取引所FXである東京金融取引所の「くりっく365」によると、11日の豪ドル・円の総建玉に占める買い建玉(1枚は1万通貨単位)の比率は81.6%と昨年8月31日以来の高水準となった。個人による豪ドル買いが膨らむ背景には、日豪の絶対的な金利水準の差がある。

FX取引では、豪ドルのような高金利通貨を買って、低金利の円を売る取引をした場合、日豪の金利差を反映したスワップポイントを受け取ることができる。豪ドル・円を1枚(1万豪ドル)購入した場合の1日当たりのスワップポイントは11日時点で105円と、米ドル・円の5円とは大きな開きがある。加えて、今週から本格化した米企業決算発表を前に「上昇を続ける内外の株式相場の動向が、リスク資産とされる豪ドルの買いを促している」(武部氏)という。

みずほ総合研究所の苅込俊二主任研究員は、大規模な洪水は豪経済にとって半年近くは減速要因となるため「2月の追加利上げ観測は後退した」と分析する。しかし、洪水の影響で農産品価格主導のインフレ圧力が強まる懸念があり、インフレ抑制のために「早期の利上げ観測が高まりやすい状況は変わらない」とみている。

洪水の沈静化した後には、「将来の復興需要の高まりが、豪ドル相場を下支えする」(RBCキャピタルマーケッツ東京支店の高安佳子債券・為替部部長)との見方も根強い。

日本政府によるアイルランド支援の表明により、ソブリンリスク(政府債務の信認危機)がくすぶるユーロ相場が下支えされた。その裏では個人投資家の買いが豪ドル相場を底堅いものとしている。

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