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「円安ラリー」いつまで 5年前は転換のサイン

日本経済新聞 経済部 今堀祥和

円安が止まらない。東京市場の17時時点レート(日銀公表)でみると10日、円相場は12営業日続落した。11日午前も1ドル=114円台を維持し推移している。これほどの長期間にわたって円が連日下落したのは、2012年2月以来だ。円安・株高のラリー(相場上昇)はいつまで続くのか。5年前の経験をひもとくと、足元の相場と共通点があった。

東京市場で円の続落が始まったのは先月19日。同日終値は1ドル=108円台後半だった。足元では1ドル=114円台前半と5円強の円安・ドル高が進む。米金利上昇を受けた日米金利差の拡大を背景にしているが、一本調子の円安に戸惑いをおぼえる市場参加者も多い。

12年2月の場合、ラリーの起点は2日。そこから24日まで円は対ドルで17営業日続落し、80年代以降の最長記録を更新した。下げ幅は1ドル=76円台前半から80円台半ばまでの4円あまり。けん引したのは日銀の金融緩和と経常黒字の縮小観測など国内要因だった。日銀は同月14日に資産買い入れ基金を10兆円増額する追加緩和の発表にあわせ、「中長期的な物価安定のめど」を初めて導入した。消費者物価上昇率で前年比1%を目指す事実上のインフレターゲットを導入したと解釈され、日銀が緩和姿勢を強めたと受け止められた。

ではこの歴史的な円安ラリーはどう終わったのか。年前半のピークである1ドル=84円台を付けた3月15日を折り返し地点に、9月13日に1ドル=77円台半ばで底を打つまで、半年間緩やかな円高・ドル安トレンドが続くことになった。この際に材料視されたのは米経済指標の悪化や欧州金融不安に加えて、日本の貿易収支が黒字に戻ったことだった。

ここに、足元と同じ構図をみる。財務省が11日発表した16年度の経常収支の黒字は金融危機前の07年度以来9年ぶりの高水準だった。貿易黒字の大幅拡大が寄与した。貿易収支は13年度につけた11兆円の赤字から、16年度の5兆7000億円の黒字までV字回復を遂げている。経常収支は3月単月で見ても2兆9000億円の黒字だった。

貿易黒字が拡大すると、企業が得た外貨を円に交換する需要が増えるため円高につながりやすい。また米国から見ればドル高是正に乗り出すインセンティブとなる。実際、ロス商務長官は先だって公表された3月の米貿易統計にあわせて日本を名指し「膨張した貿易赤字に耐えられない」との声明を出した。

トランプ大統領が近く発表する予算教書で大型減税策やインフラ投資を実行する道筋を示せなければ、政権への期待はさらにしぼみそうだ。国内の不満を再び為替への「口先介入」で解消しようとする懸念がある。三菱東京UFJ銀行の内田稔氏は「年末にかけて1ドル=103円まで円高・ドル安が進む可能性がある」と指摘する。

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